zurezuregusa

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スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け

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スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け

★★★☆(7/10点)

監督: J.J.エイブラムス

出演:デイジー・リドリーアダム・ドライバーマーク・ハミルキャリー・フィッシャージョン・ボイエガオスカー・アイザックヨーナス・スオタモアンソニー・ダニエルズ


うーん、9作品を取りまとめる作品として舵取りが難しかったか、JJを持ってしても駄作になってしまった。ファンサービス的に過去作品からのオマージュやキャラクターの登場が多くあったが、盛りだくさんすぎて情報過多。シーンごとに情報を与えられ続け、タメを作れなかったように思う。同じようにこれまでの作品の総まとめであったエンドゲームが傑作すぎたせいでどうしても霞んでしまう。最後の最後に皆が助けに来てくれる、それ自体はストーリーとしていいのだが、宇宙船大集結のシーンは前フリが効きすぎていて下手くそすぎる。エンドゲームのアッセンブルと似たものを感じるが比較にならない。もっと絶望的な状況を引き出すなりしてタメを作れた方がいい。また大集結から大活躍すれば良いのに、すぐパルパティーンに蹴散らされる。全体的に詰めに詰めているせいでカタルシスを感じるシーンが少なく感じた。タメとそれに呼応するカタルシスとその余韻とを取る余裕がなかった。カイロレンとレイしか見せ場がないため緩急が少なく、見せ場が上手に描けていない。前作はそれぞれが別の舞台で活躍し、集結するため達成感があった。また、各人に成長が見られ、次世代を期待させる展開もあった。今作は主人公チームの作戦にフューチャーし、他の舞台はほぼ描かれない。それが故レイの独断先行が目に余る。レン機で勝手に単独行動をとり、スターキラー跡でも勝手に船を出す。レイが自分の思いを叶えたいために自己中になりすぎていて、主人公として不安だ。そりゃ暗黒面に落ちかけるわという感じ。

カイロレンは今作のキーとしてよく働いたと思う。再三再四レイの前に現れ、ダークサイドへと手引きする。だが最後には母の決死の呼びかけとレイの優しさに触れ、ライトサイドへ転向する。レイとの共闘は前作でやっているので正直微妙だったが。最後の筋もベタだが好きだ。

フィンは何を言おうとしていたのか。レイが好きとか言い出すんじゃないかとヒヤヒヤした。クソ二股野郎になるとこだ。また、「感じるんだ」とかフォースを使えるような描写もあって今後がどうなるのか気になる。

ポーは前作で賢い判断もできる成長を見せたはずが、また猪突猛進な脳筋バカになってしまった。残念だ。こいつを将軍に据えるのはちょっと違う気もする。ポーは一歩下がって、「お前がいないとダメだとわかった」とかフィンを将軍に据えるような賢さがあって欲しい。

ローズがちょい役に成り下がってかわいそうだ。白人、黒人、女性、ドロイド、ウーキーと皆が手を取り合って戦う様子は博愛主義的だが、まだ白人目線での人間でしかないなと感じた。前作であんなに出張っていたのに完全無視されるとはポーグと同じ扱いで酷すぎる。アイデアを出すようなシーンもなく、名前のある脇役でしかなかった。ブサイクだからしょうがないのか。

ランドはちょい役で終わるかと思いきや、意外と出番があった。ただ、ランドである必要があるかと言われればそうでもないし、ランドの善悪どっちつかずな感じも失われていた。またランドの娘と目されたジャナはそういうわけではなかった。ジャナは元トルーパーの割にただのいいやつで、旧三部作の裏切りもあるヒリヒリした感じなかった。

レイアは最初に出てきた「不可能なんてない」のシーンがグッとくる。キャリーが亡くなってるからこそ胸にくるシーンだ。まさかの姫時代もあり、昔からライトセーバー使えていたのがサラッと明かされた。

ハックス将軍はかなりキャラも立っていて、過去二作でも良かったが、今作はその集大成だ。カイロ・レンに復讐するためというなんとも勝手な理由でスパイに名乗り出てくれたのは愛らしくもある。最後は小物っぽい殺され方になったのが残念だ。

イウォークやレッドウィング、2つの太陽を見るラストなど旧三部作を意識したシーンがたくさんあったのは良かった。願わくばイウォーク族とフォースゴーストになったレイア達に見守られながらの宴が見たかった。ハンの登場にも驚かされた。「I know」もエンドゲームにおけるアイアンマンの件を思い出すが、いいシーンだ。一方でハンの登場は取ってつけたような内容で結論ありきな感じもする。

前作の要素をかなり無視した作品になっていて、それが嫌だ。前作で次世代への転換、成長、また万人が使えるフォースとしての可能性が描かれた。しかしレイアは未だ健在で、死んですらいたはずのパルパティーンの復活、カメオ的登場のハンソロ、スターキラー基地の登場など過去はまだ捨てきれなかった様子だ。しかも、あの8のラストの男の子が一切出てこなかったのに納得がいかない。「ジェダイが私だけなど奢りだ」と語り、すべてのものが力を持つと語ったルークはどこへ行ったんだ。また、レイの両親は何でもない、どうでもいいやつだったのではなかったのか。「最後のジェダイ」を根本からひっくり返す作品で唖然だ。結局、血縁、選ばれしもののための映画へと逆戻りしてしまった。唯一8の伏線が使われているのが、最後のレッスン。あとは仲間だ絆だどうでもよいことでパワーアップしていてなんとも言えない気分になった。